車窓

空いていると僕は長い席の真ん中に座り向かいの窓から映る景色を眺めている川を越えるときの様子が好きで別のことに気を取られ見逃してしまったものならちゃんとしばらくしょんぼりとする 飛行機も新幹線も窓側の席がよい乗る前に「景色 […]

静かな音

静かな水面のような小道を歩いていましたただ私の足音がほんの少し揺らすだけの止まっているかのような景色に囲まれていました 何やら難しいことを考えることすらもその水面を揺らしてしまいそうで岩陰に隠れて眠っていた魚たちを起こし […]

二〇二五、年始

朝焼けを頂いて、鳥と共に私の身体は少し温かくなりました。 少し眠り、昼前にお雑煮を食べました。眠気を引きずりながらもその後、家族で初詣に行きました。お賽銭をし、二礼二拍手一礼。手を合わせるとやってくる静けさが割と好きです […]

Believer In West Coast

西海岸で日が暮れていく東京へ向かう光を横目に走り抜けていく 遠く向こうで雲が待つ紫色の空が撫でる 無限の緑構うことなく思い違う 有限の命刻んだつもりの黄昏時 再会が曖昧にするひとしずくの鼓動 海の魅力にあぐらをかいた森の […]

明淡色

あなたにとっての詩はある日届いていくつかが深く刻まれた心を癒やした 私以外それを知る由もなく夜が明ける 走り去った自転車が運んでくる朝愛の言葉みたいな空の光 カーテンを開いた顔へ降り注いでくれたならいいな 願いながらまだ […]

旅光

もうしばらくここに居る それもいいよとそんな気がする海の気配 煌めいて波打ち際に手を引かれ時が過ぎる 綺麗な小石を見つけて笑う風がさらう声のいくつかレンズに収める青と日差し 大勢から逃れやがて緑の木々と喜び澄んだ空の抜け […]

朧気

映像に映る鳥隣を歩いた人が言った飛行機橋を渡る車窓から眺めた雲日差しが眩しく眠気が乗った瞼は重さに耐えかねる 昨夜が既におぼろげな昼間いつもより清々しい顔をした人澄んだ風が心地よく少し背筋が伸びた気がする 誰かが何か一つ […]

幻雪さん

なぜか明け方に目が覚めて寝ぼけたまま冷蔵庫水をコップ一杯ふうと息をし振り返ったら真っ白の光 ああこれのせいかと眩しくて起きた気がした自分わあ綺麗だなと思わず写真を取った気がした自分 それにしてもおお寒いなと再び布団にそそ […]

02292024

はて、四年に一度のこの日付。四年前は何を書いていたっけなとふと、思ったんです。 調べてみるとあれまどうやら、四年前の一月に、僕は書き始めたことになっていました。そこから二ヶ月くらいが経って四年前の僕、なかなかいいこと書い […]

友との話

久しぶり、でもないかとか笑い始めて、夜更けまで笑い合う友。一体いくつの秘密を打ち明けあったらこうなったんだっけね。知らないけどまあ飲もうよ一緒に過ごそうよ。 最後にはいつも、肩抱き合って笑顔で帰ろう。殆ど何も覚えて無くて […]

雪空

雪が降った雷も鳴った 楽しんでいるようになぜだか感じた 光を掴めず光る道照らすから少し分からなくなる悲しんでる顔さえも 触れると消えるここにも魔法 眠ればすぐさま消える白 人生みたいだ呟く静寂 寒さから教わる冷たさから伝 […]

覚え書き

人が淹れてくれた珈琲を無性に飲みたくなる。寒空で日差しを浴びた日。自分勝手だと誰かが言った気もする話。思い出して風に流す午後。 誰かにとっての止まり木。誰しもが。そう思えたならもう少しだけ軽くはならないだろうか身も心。夕 […]

風便

昔教えてもらって買った生姜。作ったジンジャー。美味しい記憶。 いつか欲しくて買ったレコード。かけるソングス。嬉しい時間。 少し緩いお気に入りの靴。履いて出かけるディナーウィズユー。楽しみな予定。 着崩した上着。擦れた色味 […]

筆跡

書いていたのか遠く昔 聴いていたのかあの頃の私 どうして尋ねてくれたのかすぐ隣で君 何を思って居たんだい海の向こうに 答え合わせもできないまま歩いてきた 辻褄合わせもしないままそれでいいさとやがて笑った 擦り切れた靴底が […]

夏音

夏だと叫ぶ その代わりに大きな声で歌う 大勢に紛れて跳ねる 朝から晩まではしゃぐ 日焼けする 笑い合う 何万回と聴いてきた音楽を また何万回と聴きながら生きていくだろう その狭間にたった数回 あるかないかの光景たち 身体 […]

新夏

朝起き上がり シャワーを浴びて火照った身体 涼む間に本を手に取り 知らぬ誰かの旅行記を読む 涼し気な服を着て出かける 道すがらでカフェラテを買う 電車を待つ間に身体を伝う水の感覚 冷房の効いた車両に乗り込み座り 半ズボン […]

待つ人

思い出すセンテンス軽い言葉に他人の言葉に逃げるのを見つめる青空と風 行き交う人々慣れた素振りですれ違いただ過ぎ去っていく夜 もう何度目だろう夢中になって喋ってしまったあれやこれや自分の話 あっという間に増えていく皺読みき […]

談笑

珈琲を飲み相槌を打ち談笑する アイスクリームを食べ頬杖をつき談笑する 髪を伸ばすのがどうだとか歳がもう随分と経ったとか互いを眺めて談笑する 誰が感動するわけでも誰かの役に特段立つわけでも社会が良くなるわけでもないけれど談 […]

Roscoe

僕らは声を大にして歌う僕らは声を大にして歌う 僕らがここにいるわけを僕らがここにいたわけを 夜の街昼の公園どこかで歌い続ける人に合わせて僕らも歌う それだけが唯一のことなのだと知り得て歌う それだけが長い間しずかに心の奥 […]

余韻

何処にも行かない他の誰にもその全ては伝わらない 朝の会話昼間の立ち話夕焼けを見届けたこんばんは夜に紛れてする話 線路を挟んで交わす視線西と東で打ち合う言葉 テキストだけでは抱き合う心地には到底敵わない触れ合う心地には遠く […]

素振り

忙しないよ探し回って変わりゆくふりして街並み変えていくのは僕等みたいな人の顔 本当は寂しいふりして確かめたいだけ自分の声色誰かの顔色あなたの症状 ゆっくりでも咄嗟にだって構わないから辿り着きたい場所を見つめてお湯を沸かし […]

ラムネ

永遠に続いたらいいなって思うことがいくつかあって それでも歳は重なり僕らは育ちやがて何処かへゆくのだろうなとベビーカーに乗った混じり気のない声が世界に伝う 季節は巡り何万回目の青空を見上げ汗ばみ恋をして色とりどりの心地を […]

声よ今

僕らの声よ遥か遠くいつかの君まで届いてやくれないかいつかの僕よ振り向いてはくれないか 後悔には声は届かずただ未来へ希望へ声は霞んで飛んでゆく 今の僕らが言えることは未来の僕らが聞くためのこと いつかの僕が言ったことは今の […]

生きゆく僕らは空を眺めて星でも探して生きてゆくのさ

光を当てた白い文字たちが、それは綺麗に輝いた。 「あぁ、僕はやはり白が好きなのだな」と心の内の誰かが言った。 今日からのために費やした時間たちが、明日のために準備された心が、昨日までに別れ告げて今この時の僕の頭を埋め尽く […]

時の所在

雨の降る音を聴きながら目覚める歯を磨き顔を洗い重たすぎる身体を椅子に委ねる 買ったまま読まずにいる本達の山から一冊を救い出し捲る 書き手の視点の偏りを読み流しながら語られているノンフィクションの出来事たちに僕は次第に落ち […]

過ぎていく月、伸びていく髪、言葉に埋れてしまいたい私

朝起きて、夜の間に自由気ままに飛び跳ね踊った髪と共に立ち上がる。 七月があっという間に過ぎ去ったということは、僕の髪もあっという間に一月分また伸びたのだということなのに、どのくらい伸びたのかもはやよくわからない。 色んな […]

檸檬先生

檸檬色の瞳白い肌長い黒髪 小学生と中学生の物語であるはずの言葉たちが、やけに艶かしくて鮮やかで、空想の妄想の世界が繊細に色づいていく。 残酷で、けれどそれ以上に、この中で私も生きていたいと思うほどに、美しい世界。 言葉た […]

朝の余韻

「読書は旅する幸福に似ている。」 僕の部屋の壁には、一面に気に入ったアーティストの絵やポスター、海外で訪れたカフェのショップカードや買ったコーヒー豆の袋、泊まったホテルのポストカードとか、他にも色んな思い出たち、アートた […]

空の理由

いい空だなぁと思うと、よく立ち止まって写真を撮る。 きっと同じように同じようなことを思って立ち止まって、この空を撮っている人が大勢いるんだろうなとふと思う。 何かが目に止まって、思わずそこで立ち尽くして、じーっと眺めると […]

旗印

大小に関わらず、というかそもそも大小なんてないのなもしれないが、何かを目指したり、成し遂げたり、つくったり、もしくは何かへ向かっていく時に、どんな形であれそれを先導するには旗印が必要だろうと思う。 一期一会の出会いや眼差 […]

透明感

透明なものに透明な人に強く惹かれる 向こう側に内側に 鮮やかな色を纏った何かが見えてけれど確かに眼の前に掌に触れる何か誰か いやそれならば本当に惹かれているのは透明の向こうに見える景色だとか心だとかそういう類のものだろう […]