アンティークと仲良くなる

手のかかること
手のかかってきたこと
そういうものを好む一面を持っている

描かれる絵画を見るにしても
即興的に描かれたものよりかは
想像もできないような時間と集中力が費やされた果て
二度と同じ道は辿れないだろう先にできあがったものにこそ
強く惹かれるように思える

一点ものの陶器たちを使い
洗いながら
そんなことを考えていたら

あぁそれは人に似ているからかもしれない

とふと思った

生きていくということは
それ自体が自分を愛でることを含まざるを得ないように思う

まずは誰しも
自分を通じてしか時間を費やせない

どんなに誰かを思っていようと
どんなに何かに自らを捧げようと
そこには確かに自分が介在している

陶器にせよ
絵画にせよ
或いはアンティークと呼ばれる家具にせよ
それらは短くない時間と人の手が
岩を撫でる風や波のように過ぎた先で
私に出会う
或いはあなたに出会う

手がかかる自分を
それでも愛でて生きていくなら
毎日を費やして作られた陶器や絵画にしても
百年近く前に作られた家具にしても
それは自分自身と似たような境遇に少なからずある

そんな風にも思えて一つ
私がそういうものを好む理由を見つけた気にもなった

本日も読んでくださりありがとうございます。アンティークと仲良くなる秘訣は、自分をちゃんと愛でること、だったりして。