忘れ物と忘れられてる物事たち

いつも使っているイヤフォンを忘れて家を出たことに改札前で気付く。

財布とか定期とか、そういう類いのものを忘れて家を出たのはいつぶりだろうと思い返しても、すぐには思い当たらないくらいには珍しいことで、少し自分に驚く。

まぁいいかと思いはするものの、やはりいつもはそこにある筈のものが無いというのは落ち着かず、予備でいつも鞄に忍ばせていたはずの昔のイヤフォンに思いを馳せる。

できれば同じイヤフォンを予備で持っておけたらとは思うものの、僕にそんな経済的余裕も無く、それが叶うなら叶うでどうせなら別のタイプのものを買ってみたいと思うだろうなと自分に思う。

雨のせいか低気圧のせいか、気怠さを纏った午後の中、いつもよりゆっくりと街の中を歩いていく。

自転車のブレーキ音、少し遠くのコンビニの入り口から聞こえる店内BGM、踏切の音。

忘れるつもりもなく忘れているものや、無視するつもりもなく無視しているもので溢れた世界の中を今日もゆく。

たまには忘れ物も悪くないなと思い始めた。

本日も落書きを読んで下さりありがとうございます。忘れ物をしたら、忘れていた物事たちに気付けるという喜びがどうやらこの世界にはあるようです。