ある町の話

道の木陰で近所のパン屋さんで買ったお昼御飯を食べてぼーっと道行く人や電車の音を眺めていた。

駅への通り道の一つということもあってか、人通りは一応あるんだなとか、さっきすれ違ったのって同じマンションの人だったかなとか、ぼーっと考えながらカレーパンを頬張る。

今日もあっという間に12時になってしまったなぁと少し悲しい気持ちになりかけたところを、よく行く定食屋のご夫婦が前を横切り、元気に「何食べてんの〜」と茶目っ気の効いた声を僕に届けてくれた。

長く住んではいるが、きっと僕が知っている人はこの町に住む人の一割にも満たない。けれどもとても、とてもいい町だと思う。

駅前のコンビニには、ピンクの長髪を束ねピアスをした20代半ばくらいの青年が毎日のように働いていて、傍から見ても誰よりも有能でテキパキしていて礼儀正しく、人は見かけに依らねぇんだよと言わんばかりに、態度で行動で世の中の偏見を今日もふっ飛ばしてくれている。

色んな意味での格好良さを教えてくれるこの町は、やはりいい町だと思う。

本日も落書きを読んで下さりありがとうございます。栄えているわけではないし、個人店は相変わらず減ってしまって居るけれど、歩けば元気をくれる町。