方光

海辺に立ち
くしゃみをして風向きを変えてしまう
両手を大きく広げ積乱雲を押しのける

森の神様は木々の中から眺めて笑う
またおかしな輩が生まれ落ちてやってきたよと
揺れて木漏れ日に語る

波音に足を浸せば
思い出が聴こえてくる
ヤドカリたちは自由を泳ぐ
友は去り私は残り火となる
意味が変わる束の間に問いかける
日々浴びる微笑みの真偽
作りかけの夢への熱意

ここからどこへと流れ着くのか
知りながら横目でカモメが飛んでゆく
居眠りをした青空が気づかぬ内に夏へゆく
悩み苦しむ心に構うことなく

助手席で交わした言葉は今もここにあり
生きていったなら再び光り飛ぶだろう

青春の灯火を懐かしむだけでは
こときれる程に退屈なのだと叫ぶように
延々と冗談を重ねる人の目を見つめる

日が落ちてまた昇り
落ちてまた私に知らせる今日まで届いた重さ

波が語る
日差しが問う
緑が言う
風が訴えかける

ここに私が至った意味

この目が見た景色が語る
この耳が聴いた音が問う
この肌が触れたものが言う
この口を満たした食が訴えかける

ここにあなたが至った意味

春はやがて大粒の涙を流し

夏はあらゆる皮膚を焦がして怒り

秋は興味をなくした顔でこちらを見つめ

冬は冷え切った身体で私を愛で

震えた手で
灯火を頼りに
新しい日を焚べ暖を取る

答え終えることのない問いを抱え
この先も巡る季節に身を委ね
流れる彩りを感じながら
その悲しみを抱きながら笑う

言葉を越え
私を越え
手を合わせる
健やかな光へ祈る

すべてを手放した空が笑う

本日も読んで下さり有り難うございます。いつも、ここではないどこかへ向かっている途中なのかもしれません。