着慣れた服を着たところ
身体から余計な力が抜けていくのを感じました
ほのぼのとした日差しを浴びる道
歩いていくと確かに定刻通り
上りの電車は走り
踏切は鳴り
そよぐ風
確率論と決まりごとは混ざることなく
今ここを相変わらず通り過ぎてゆきます
私はただその様を傍観しています
そういうものだと誰かが教えた定理を忘れ
単純で大きないくつかの原理に揺られ
偶然とも必然ともとれる今朝を歩いてゆきます
あなたはただそれを受け入れ
或いは見過ごし
そういうものだと教わった物事に習い
フラジールで純粋な心をいたわり
当然のように生まれる日々を過ごしてゆきます
鞄に忍ばせたまま
忘れられてしまった本に詰まった言葉たちは
きっと今頃勝手気ままに旅をしていることでしょう
はるか昔
落ちたリンゴが重力の存在を知らせたとき
落ちなかった樹木はそれに反論していた気がします
こういった呑気なことを
神様はこっそり何処かで聞いていて
楽しんでいるのだと思います
予定にはない
予定を狂わすこともない話をする人
予定通りに
予定を守り明日へゆく人
確率論を好む人
決まりごとを好む人
各々が故の今ここ世界が一つ吹いてゆきます
私は地平に沿って宇宙をゆきます
色の抜け始めたパーカーを着て
少し間延びした革靴を履いて
一つ二つ美しい原理を抱えながら
今日もここにある生命を喜びながら
自らの恵みを思いながら
本日も読んでくださりありがとうございます。春の日の朝のこと。