荷物が軽く感じる夜道
歌声の主と会話するかのように
メロディに乗る言葉に相槌を打つ
息が白く
私は今温かいのだと知る
下弦の月と目が合う
街灯が照らす
多くが過ぎ去った顔
一つ前の駅で降り
教わる無限の灯火
受容する心
こぼれ落ちる吐息
小道の魅力が私を掴んで離さない
青信号
踏切の音
俗世が呼ぶ声
空のベンチよ飛んでゆけ
黙りこくった並木道よ旅に出よ
去り際の眼差しよ永遠に私の元に
見つめ合ったまま
過ぎ去っていった
あれを夢幻だったとするような
弱い心など捨て去りなさい
軽くなったすべてが私に教える
素晴らしいかどうかなど
どうでもよいほどに美しい
響き合う会話をした人々の夜
悲しみ乗り越え
辿り着く景色へ微笑みを
伝う無形のすべてを詩と呼んで
私はあなたへ便りを綴る
本日も読んでくださりありがとうございます。悲しみの整理がつかず書き終えられない詩がある一方で、自然と訪れる美しい夜に救われて、書くことのできる詩もある。筆を取れない日も稀にあり、ただ眺めていたい夜もあれば、ただ読んでいたい夜もある。この詩が書けてよかったと思う。