空が夏
眺める隙に飛んでいった鳥
消えた水
一度限りの雲の模様が告げる
生命の淡い
もう
すべて私になった夏なのだから
憂うことも悲しむこともないでしょう
汗と共に流れていった音
揺れていた青
宿したままの瞳の色で見つめます
世界の素顔
生活に潜む諦めの影
照らして消してしまえる日差し
この季節だけが私に与える暑い魔法
使い回して扇風機
うたた寝しながら掴みましょう
自由の声する掌をのみ
信じたまま進んだ殆どが空の道
つまらなくなっていった日々ならば
今この場で放ちましょう
迷う間に夏は終わり
巡り巡りて再び熱意の溢れた季節
何度目かでやがて終わる
私なのですから
諦めるという余裕
本来は持ち得ないものです
何かを犠牲にする暇
本来は持ち得ない命です
そのすべて
贅沢者から奪い去るように
光る太陽
視線を逸らしたとて
上がりゆく体温
輝く水滴
溶ける氷と笑う肌
街の果てから
祭囃子が聞こえてくる