海道に沿い

一晩しか居れなかった土地
どうにか斜め読み
満足げにハンドルを握り駆け抜けていく

日盛りの中
あくびをしたのは確かな命
頬に引っ張られた筋繊維が告げる
歳を重ねてきた肌の張り

青空に愛想を尽かした鉛色
雨粒が楽しそうに窓に跳ねる
車内に溢れた声を聞くふり
かき消されていくBGMをちゃんと聴く
誰も気にしないまま口ずさむ
右折

本当のところ
ドライバーが楽しんでいるのは景色などではなく
全てを道連れに踏めるアクセルの心地

自由の皮を被った不自由で溢れた町並み
鉄と皮が混じった雨の匂い
エンストを起こしたいつかの友と異国を思い出す

雨が降る
私は走る
真っ直ぐ進む
海と島を跨いで心
晴れよ

本日も読んでくださりありがとうございます。旅の記憶。