温もりさえあればと知るのはなぜか大人の少し先。子供の頃に夢中で求めたはずのものたちの行方。途方に暮れて見渡す天上の世界。答えなどない場所の自由。不安が優しく頬杖をつく。見つめ合う居間のこと。
触れたのは肌ではなくてあなただったというのになぜか。それに気付かず眠りこけた若葉の頃。雨粒が滴ることの儚さと艶やかさを知ったのは暫く経ってからのこと。私が私になったのは恐らくそれからまたいくつかの山を越えてのこと。
知る由もなく他人のような素振りでゆく荒野。森林。海の果て。理屈も科学も消えてただ温もりだけが残った頃。輝くものが宝だと知る。
本日も読んで下さりありがとうございます。透んだ季節が私を通り落とした詩。