風の背中

風が訪れ
去り際に肌を撫でる

夕暮れの人
目配せをして風の掌を追う

私の言葉
時折深くあなたを突く

紛れもなく
揺れた心が起こす嵐
動かす地平

風吹く始まりは
常に誰かの胸の内

人知れず私が突いた血流
あなたが目配せした瞳

慣性の法則に従い
身体に慣れ親しんだが故の驚き

波打ち際で笑ったのは
確かに希望だったはず

路地裏で出会ったのは
確かに幸福だったと知る

吹き抜けた空っ風が示す道順
追いかけ祈る惰性と共に
優しさを抱く

今日見過ごした運命と
繋ぎ止めた運命
そのいずれも置き去りにして
掴まえる風の背中
柔らかく透明な素肌

本日も落書きを読んで下さりありがとうございます。風よ。