例えば
三十五年も共に居るのだという話
とても難しく
奇跡がいくつ積み上がったのだろうと
思う時代になったのだと知る
もうずっと
何十年と何十回と
共に仕事をしてきたのだと話す人
この人もあの人もそうなのだという
人柄とはこのことを言うのだろうと知る
去るときは
誰しも独りなのだと言うけれど
そんなのは嫌だねと
手を取り歌うように語らうように
拒むこともできるはずだと
勝手に独り教わった心地の夜
水を飲み干し
気付けばお腹もすかせたまま
随分な時刻になっていた夜
歌うように友と語らい
語らうように軽やかに人と歌い
生きていく人々の
愉快で豊かな話に聴き入った夜
例えばここから三十五年の月日を経ても
共に語らい笑い
歌い楽しむ友と在りたいものだという
私の内の希望をまた一つ
新しく知った夜
本日も落書きを読んで下さりありがとうございます。長く続く、続ける、ということの楽しさ、味わい深さを知りたくて、年老いていきたいと思えたりもするんです。それはまさしく、長い付き合いっていいもんだよと伝えてくれる、大先輩たちのおかげなのだと思うのです。感謝です。