都心から少し離れた丘に、その街はある。住宅街、アパートに紛れて小さなカフェやレストラン、レコードショップにライブハウスが時折顔を出す。
多くの人にとっては、別に特別な街ではないと思う。少しお洒落な人達が集い暮らす、落ち着いた街。
けれどそこで、僕は今も尚忘れること無く度々思い出す、美しい光景を幾度となく見た。過ごした。
十年ほど前、異国から来た少年がそういう光景たちに辿り着けたのは、本当に多くの偶然が重なったが故のことだったのだと思う。だがそれも今思い返すと何処か運命のような、何かに導かれたかのようなものを少し感じたりもする。
今日、数年ぶりにフリーモントに訪れ、いつものハンバーガー屋で昼食をし、いつものカフェでラテを注文し、席についた。大きな窓から道路の向こうに見える、僕が数ヶ月働いていたコンサートホールを眺める。
幾度となく見た景色たちと久しぶりに少し過ごし、思う。ここで十年近く前の僕は、紛れもない今の僕へと向かい生きていこうとしていたのだと。
気付くのに遅かったり、随分と遠回りしたり、道に迷ったり、道草くったりしたけれど、一つの方角へ生きてきたのだと思える今が、とても幸せなことだとわかる。
もう少し、ここに座ることを日常に近づけてあげられたなら、きっと僕はもう少し、健やかに、素直に、光を見失う事無く生きていける気がする。
そうそう、いつもこんな感じだよねって思いながら微笑むことのできる居場所。
そういう場所が、ちゃんと日常の側にあるのだと思えるように、あるように、これからも生きていきたいと思った。
本日も落書きを読んで下さりありがとうございます。海の向こうだからとか、忙しいからとか、そういうことではなくて、ただちゃんと遠くも近くもなく、拠り所があると思えていることが何よりも大切です。