雨と奏

雨音と
部屋に流した音楽が混ざる夜
私のためだけの曲になる

暗闇の中
綴りたい言葉があり
抱き締めたい思い出がある

静かに遠く
旅した記憶が守る夜

少しだけ
窓を開けて空と繫がる
どうやら私は生きていて
気配を用いて雨粒と呼応する

緩やかに終わりに向かう
予行演習のように眠り落ちていく夜

誰かが言った
寝言の意味を延々と考えるような
そんな人生ばかりだということ
その下らなさと美しさの狭間
揺れ動く命みたいな静かな吐息に
万物の真理を見い出す

やがて
瞼を開ける
まだ流れている音楽に安堵する
今しがた
偶然生き返ったかのように
今日も
目覚める

本日も落書きを読んで下さりありがとうございます。雨音も含んだ音楽なのか、それとも本当に外からの雨音が聴こえてきていて、流している音楽に混ざっているのか。分からなくなり音楽のボリュームを下げ、窓を開けてみた。すると一定のリズムで奏で続ける雨音がそこにあった。嬉しくなって音楽のボリュームを徐々に上げ、引き続き即興演奏を楽しみながら眠った。