朝、電車に乗り込み通勤する人々に紛れて、遠くへ向かう。
みんなして品川という駅で降りていくのを後ろから見送り、急にガランとなった車内で席につく。
電車はスピードを上げていき、さっきまで一つ一つ、ちゃんと止まっていた駅たちを、今度は二つ三つ簡単に通り越してどんどん進む。
軽くなったからだろうか、なんてことを思い付いて、ひとり少し可笑しくなる。
曇り空ではあるけれど、とても眩しい窓の外。
大きな通りを車たちが平行に走っていく。
聞いたことのある名前の駅のいくつかに、止まっては進んでを相変わらず繰り返し電車はゆく。人が乗り降り、進んでゆく。
光の中で目を瞑る。
電車の音だけが、僕を包む。
大きな大きな川を渡った。
色んな色の屋根が連なる街を越えた。
結果が全てだ、なんて嘘はもうつけないなと思った。
緑が増えて、人が減り、空が広くなっていく。
何処までもゆきたいと、思った。
本日も落書きを読んで下さりありがとうございます。いつの間にか眠ってしまっていたのだろう人の手から、滑り落ちた何かが床に落ちて音が車内に優しく響き渡った。それを眺めて、なぜだろう、無性に僕は嬉しくなった。