風に生まれを尋ねたとして
鳥に行方を尋ねたところで
僕等は答えを知る由もなく
ただ放たれた言葉は
やがて空へと帰ってゆく
道端の椅子に腰掛け
飲み干した珈琲
通り過ぎていった
誰かの後をついてゆく仔猫
同じ格好が揃って歩く平日の昼下がり
冷たさが僕を何処かへ追いやる冬も
暑さがあなたを何処かへ誘う夏も
幾度と無く過ぎて行ったはずなのに
僕は僕で
あなたはあなたで在ったのだという偶然
鳥が放った言葉が溶け込み
澄んだ空から風が歌い
ただその中で僕とあなたは言葉を交わし
やがて僕等になってゆく
偶然も当然も
奇跡も運命も同様に連なって
今この時
辿り着いた束の間に何を歌おう
一体何を奏でよう
本日も落書きを読んで下さりありがとうございます。僕が僕で、あなたがあなたで在り続けるというのは、実は大変なことなんじゃないだろうか、と。