曖昧なまま僕等

「働いてばかりいます」という人に会って、「それは大変ですね」と話をしたものの、僕もどうやら同じ側の人間だったと翌日仕事をしながら更けていく夜に気が付き少し笑う。

誰かが手引をしてくれなければ抜け出せない気さえする日々だと思う一方で、其処からスッと抜け出して、どうやって辿り着いたのか今となっては思い出せない綺麗な光を眺めながら、ゆっくりと呼吸する束の間も極稀に存在する。

あれ、一体何の為にこんなに忙しく生きているんだっけかと、疲労が重さが幾度となく僕に問うてくるけれどその度に、揺れないブレない答えを景色を思い出しては少し微笑む。

出会う人の数だけ日常があり、仕事があり、声があり言葉があることを、頭では分かっているもののどうにも気持ちがついていかないこともある。

誰かが良かれと思って費やす日々が、他の誰かにとっては悪しき結果に繋がることも、理解はできても納得できないことがある。

尽く、白か黒かで成り立ってやしない世界の中で、何もかも曖昧なまま過ごす心地良さに浸かっていたいと心の何処かで確かに思う。

曖昧なまま認め合えたら、曖昧なまま許し合えたら、曖昧なまま愛し合えたら、世界は今とはきっと違った姿かたちだったんだろうな。

本日も落書きを読んで下さりありがとうございます。譲れない何かを持つことに憧れる人達と、その何かを持ってしまった人達と、その周りで疲れ果てる人達と。「白と黒」という言葉で一番大事な文字は白でも黒でもなくその中央に佇む「と」なんだよなぁ。何の話だったっけ。曖昧でいいや。