何処吹く風の美しさ

近所のカフェに行き、コーヒーを注文する。
待ち時間で店長と他愛もない会話をする。

互いに互いのことを程よく覚えているからこそできる会話、生まれる他愛に、心を少し撫で下ろす。

コーヒー片手に次の予定へと向かい店を出る。
決まった時刻に決まった場所で、誰かと当たり前のように待ち合わせることのできる幸せをふと思い出す。

すっかり肌寒くなった通りをそんな記憶と共に歩いていく。
きっとすれ違う人それぞれに待ち合わせている人、程よく覚えて合う人が居て、そんな記憶と記憶で助け合い、支え合いながら人と人とはもうずっと長い間暮らしてきたのだろうな。

そんな当然のように聞こえることや、覚えていることと、覚えてもらえていることの幸福を忘れていた僕の、なんと不幸なことだろう。

そんな自分を慰めるようにコーヒーの温もりが掌を伝わり胸へと届く。

風吹く道での、目には見えない今日の話。

本日も落書きを読んで下さりありがとうございます。正しさも間違いも、善いことも悪いことも何処吹く風で、今日も世界はきっと美しいのだということを思い知る。