ひと時の所在

切っては伸びゆく前髪が、僕に季節の移ろいを告げる。もうあっという間にクリスマスですよと、明るい声が僕へと響く。

大きな扉を開けて入ってきてくれる誰かの声に耳を澄まして、秋晴れの青空が揺れるのを感じる。

今日もあっという間に終わるということと、夏が秋が気付けば過ぎ去っていくということの連なりを、僕はいつまでも心の何処かで静かに疑ったまま、生きていくのだろうなと思う。

今日がもう終わることに、秋がもうすぐ冬へと変わっていくことに、少しでも抗いたくて夜更しをする。寒空の下を散歩する。

止まらない時間の中、永遠に忘れるものかと自分に言い聞かせた一瞬たちの所在を確かめる。

本日も落書きを読んで下さりありがとうございます。そういう一瞬たちに押され守られ、時の流れを泳ぎ抜く今。