個展の名前を考えていて、最初に思い至ったのは小説のような少し長めの言葉たち。
「これはいいなぁ」と思って一晩寝かして、「やっぱいいなぁ」と思うものの、どうにもみんなが「〜行った?」とか「〜めっちゃよかったよね」とか、そういう話をする様子を想像できない。
長いことが悪いと言うよりは、訳せないんですよね、「セカオワ」とか「リョクシャカ」とかそういう風に。
うーんうーんと考えて、こういうときに僕がイメージするのはいつも町のこと。
自由丁という、町のこと。
その町に住んでいる人たち、訪れる人たちのことはもちろん、今までも今だって催されている音番地での出来事や、月詠倶楽部という秘密の会合の行われる路地裏のバーのこと。繋がる本棚で人と人とが繋がっていく不思議な本屋さんの光景。
そういう、ありもしないし、鮮明に想像し、妄想しているのは僕か、あと数人の、自由丁を愛でてくださっているであろうあの人にあの人にあの人、くらい。いやもしかしたらもう僕の想像をはるかに超えて、色んな人が僕のことなんてお構いなしに語らい始めてしまっているかもしれない。しまっていたらいいなぁ。
その町の中で行われる展示会なら、一体そこをなんと僕らは呼び、呼び合い、一度ならず何度でも、時間が経っても色あせることなく語り合い、また訪れることができるだろうか。
時間は待ってくれないけれど、もう少し、皆さんにはお待ちいただけたら幸いです。
いい名前を、つけてあげたいなぁ。
本日も落書きを読んでくださりありがとうございます。名前を頭のどこかで考えながら、今宵も夜を更かしてまいります。