帰り道ワンダーランド

今日も誰かが
平積みの紙束の中で叫んでいる

社会課題が山積みだって
燃料燃やして森を無くした歴史を紡いで
最果ての未来の今の快適な部屋の中
塗りたくられた塗料から声が聴こえる

背中がどうも痛いんだって
僕が言ったら

いつ結婚できるのか不安だって
あなたが言った

どこかで手に入る価値を求めていたら
ロボットには勝てやしないと
早口の教授が画面の中で捲し立てる

川をいくつか飛び越えて
広いグラウンドを眺めながら
放課後を満喫している少年は

いつかロボットと戦う未来を想像し
退屈になり帰りの準備をし始める

電車のつり革
ガラス張りの建物の形
最近流行りの歌手の声

窓の中を過ぎ去っていく景色たち

何を紡いで次の今へと向かっているのか
時々わからなくなってた世界

今はもう
どこにも向かっていないようにすら見える

コンクリートジャングルは
いつの間にか透明なデータを耕す畑になっていた

大人たちは今日もせっせとガラス畑で汗を流す

同じ空の下
土手をいくつも乗り越えた
広い景色の小さな駅で
袖を少しまくって立つ少年は
透明な少女と手を繋ぎ
帰りの道を歩き始めた

本日も落書きを読んでくださりありがとうございます。帰り道という名の美しい色でこの世界を塗り潰してしまえないかな。