これは本当の話なんだけれど、
自由丁には人以外のお客さんが時折訪れる。
こう書くとなんだかオバケの話に聞こえたかもしれないが、そうじゃなくて。
動物や虫たちの話。
もちろん招いてないのに来ちゃうことが無かったかといえば嘘になるけれど、ここで書いているのは、丁寧に訪れ、(きっと)挨拶していってくれた方々の話だ。
ある日の夕方、開かれたドアから丁寧に、もうそれはそれはテクテクと「なんのお店だろうか?」とキョロキョロしながら一羽の鳩が入ってきた。
そしてちょっとウロウロして、また丁寧に(きっと)「お邪魔しました。また来ます。」と言ってドアから出ていった。
あの光景はなんというか、この鳩は中身が人か、前世が人だったんじゃないかと思えるほどに、そしてきっとこの鳩は自由丁という町に住んでいるのだろうなと思えるほどに、自然な光景だった。
同じようにドアを開けていると今日、大きな蜂が一匹、入店した。
「うお!」と思って、今までの経験則から、なかなか出ていかないであろう(正確には、出ていけない?)その方をどうやって退出願おうかと頭を悩ませる時間が始まるかと一瞬思ったが、見事なまでの取り越し苦労だった。
その方は光の速さで店内を一周し、隅々まで(きっと)眺めて、「お邪魔しましたー!また来ますー!」と(きっと)言って見事に丁寧に、ドアからまた蔵前散策へと出掛けていった。
そりゃあそうだよなぁ。
町には人以外も住んでるんだよね。
毎日のように「よっ」と話しかけてる向かいの道に住む猫も、僕らと同じように、当たり前に生活してるんだよね。
そしてもしかすると動物たちも虫たちも同じように、僕のことをあなたのことを、時に愉快に、時に不安に、時に優しく、見ていたりするのかもしれない。なんてね。
本日も落書きを読んでくださりありがとうございます。鳥たちはさ、ありゃあ間違いなく喋っているし、他愛もない話もしていると思うんだよね。「あいつこないだこの店行ったらしいぞ」「え、まじで」「どうだったんだろ」「な、気になるよな」とかなんとか。